JIPCA第3回全体会合(2025年9月開催)
第3回は主に以下の点について意見交換を行いました。
今回の討議の観点
①知財専門家以外への伝え方の必要性と実施方法例
②特にスタートアップの経営層と会話する際の伝え方例
今回の討議の内容
①知財専門家以外への伝え方の必要性と実施方法例
知財は専門家と、専門家以外の方との知識のギャップが大きい領域であり、知財専門家側の目線でコメントをしてしまうと、専門家でない方にとっては分かりにくいといった意見が出ました(例:特許調査における特許分類を含めた検索式、請求項の表現方法)。逆に、その点を分かりやすく伝えることができれば、今後AIの進化等でサービスが均質化していく中でも価値を発揮しやすくなるといった意見が出ました。また、ターゲット層によっても、知識レベルや関心事項は異なるので、それに応じた伝え方も必要になるという意見が出ました。
そして、分かりやすく説明する能力を身に付けるには、知財領域とは異なる領域における業務の目線を持ち、その経験値を高めることといった意見も出ました。一方で、それは直ちに改善が見込まれない中、一定程度説明に有用なフォーマットを活用するといった点もシーンや対峙先によっては有用になるといった意見が出ました。

図1 知財専門家以外への伝え方に関する論点例等
②特にスタートアップの経営層と会話する際の伝え方例
上記のように、ターゲット層によって伝え方が変わるという状況の中、一例としてスタートアップの経営層と会話する際にはどのような点から語るのが良いかという点を討議しました。
その中で、スタートアップは、資金獲得の手段が途絶えると存続することができない組織体であるため、資金調達の額の向上、成功率の向上、といった面で貢献できるという伝え方が良いのではないかといった意見が出ました。
具体的には、スタートアップが資金調達をする際に全体の企業価値を高めるために、設定した市場性の実現確度を高める裏付けに使うといった意見が出ました。
これらは知財以外の手法もある中で、上手く投資家の関心事項に合わせて、問題がないこと、成功の確率が高いことを裏付けるファクターとして活用すべきといった意見が出ました。

図2 スタートアップ経営層と会話する際における知財の役割の伝え方の例